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NSSOLテック・コラム

HTML5

2016/05/10

対談:HTML5の「今」と「未来」~次世代Web標準はITを超える~

NSSOLは、システム研究開発センターを中心に、次世代Web標準である「HTML5」を適用した業務システム開発に取り組んでいます。また、HTML5を世に広めるべく、2012年よりHTML5に準拠した開発フレームワーク「hifive」をオープンソースとして公開しています。

今回、hifive開発チームの一員である柏村拓哉さんと、「HTML5プロフェッショナル認定試験」や各種セミナーなどを通じてHTML5の普及を進めている特定非営利活動法人LPI-Japan理事長 成井弦様との対談が実現しました。対談を通じ、HTML5の可能性を感じてください。

「マルチデバイス対応」と「可視化」がHTML5の最大の強み

成井:HTML5は一般的に、ホームページの制作言語として認知されているかと思います。しかし最近では、企業の基幹系アプリ開発においてHTML5が注目を集め始めました。その最たる理由は、HTML5の汎用性の高さでしょう。かつては、ほとんどの基幹系アプリがWindowsベースで作られており、Windowsのパソコン以外では動かすことができませんでした。しかしiPhoneやAndroidなどが台頭し、今やモバイル端末でアプリを利用するのが当たり前の時代です。

特定非営利活動法人エルピーアイジャパン理事長 成井 弦様

柏村:我々のお客様も、まさに「Windowsでしか使えない」業務システムを一新したいと考えていらっしゃる方が非常に多い印象です。もちろん「モバイル端末でも使いたい」という声もありますし、Windows自体も定期的にアップグレードしますから、特定のOSに特化したシステムでは、いずれ不都合が生じます。そういった不便さを感じつつも、従来の技術ではなかなか解決策が見つからなかったんでしょう。

成井:そうでしょうね。そのニーズに応えられる言語が、HTML5というわけです。HTML5はマルチデバイス対応ですから、1つのプログラムをWindowsやiPhone、AndroidなどのあらゆるOSで動かすことができます。これはHTML5が脚光を浴びた大きな理由の1つでしょうね。

柏村:あとは、HTML5が持つ「可視化」という技術も大きいかと思います。お客様からは、何十年も蓄積してきたデータを「見える化したい」というご要望を受けることも多いんです。しかし従来のHTMLでは、そのように膨大なデータはとても表示しきれませんでした。ところがHTML5はそれを可能にするだけではなく、見やすく使い勝手のいいシステムを作ることができますよね。これは業務システムに限らず、非常に画期的な特性だと思います。

当社システム研究開発センター 柏村さん

成井:そうですね。私は人間の五感のうち、もっとも重要なのは視覚だと思うのです。視覚で理解できる場合とそうでない場合とでは、理解度が大きく異なります。静止画よりも動画、白黒よりもカラー、2次元よりも3次元というように、パラメータが多いほど理解が深まるんです。HTML5は表現できる要素が非常に多く、ユーザーは直感的かつ正確にデータを把握できます。そのうえ使い勝手も良いので、我々の言葉で言うとUX(User Experience)が非常に高い言語だと捉えています。

未来を切り開く鍵は「IT+クリエイティブ」

成井:柏村さんには、先日LPI-Japanが主催したHTML5のエグゼクティブセミナーに参加をしていただいたのですよね。

LPI-Japanエグゼクティブセミナー「HTML5ビジネスサミット 2016」~新たなビジネスを切り開くHTML5~
基幹系システム開発におけるHTML5の活用事例(2016/3/9)

柏村:おかげさまで貴重な機会をいただき、ありがとうございました。あのセミナーで私がもっとも印象深かったのは、成井さんの「IT+クリエイティブ」というお言葉です。この考え方は、次世代のものづくりにおいて大きなヒントになると思います。

成井:ありがとうございます。特に日本では、ITは左脳一辺倒の世界なんですよね。要はクリエイティブという、右脳的な要素が抜け落ちてしまっているんです。しかしApple社を大成させたスティーブ・ジョブズは、「IT+映像」または「IT+音楽」に長けた技術者を積極的に採用し、他社との差別化を成功させました。さらに彼は、いち早くHTML5に着目し、iPhone、iPad、MacなどをすべてHTML5にフォーカスして作り上げています。まさにHTML5をベースにした「IT+クリエイティブ」により、Apple社は圧倒的な優位性を築いたのです。

柏村:確かに我々のようなSEは、ITに特化している人間が多いですね。そこに他の要素を融合するというのは新鮮でしたね。実際にHTML5の可視化技術を最大限に活かす上で、クリエイティブ性は欠かせないものだと思います。

成井:IT企業にも同じことが言えます。やはり企業自体が左脳型で、サーバー系のビジネスにばかり目が向いているのです。しかし実際には、世の中はサーバー系+クライアント系の組み合わせで動いています。それこそiTunesは、Appleのサーバーをベースにした大規模なクライアントサーバー型のシステムでしょう。世の中のニーズに応えるためには、サーバー系とクライアント系の両方ができなくてはいけない時代なんです。

柏村:クライアント系の技術が足りないとなると、企業や技術者が注目すべきはHTML5ということになりますね。

成井:おっしゃる通りです。それにクリエイティブの世界でも、おかしなことが起こっているんですよ。例えばWebの世界には、WebプログラマーとWebデザイナーという2つの職種があります。デザイナーが絵コンテを創り、それをプログラマーがプログラムに書くわけです。しかし画家や小説家の世界では「考える人」と「作る人」が別、ということはまずないでしょう。左脳と右脳をそれぞれ別人が担うというのは、考えてみれば妙な話なのです。ですからWebデザイナーの方々はHTML5を学んで、ご自身の世界観を自ら可視化していただきたい。そしてWebプログラマーの方々には、HTML5を通してクリエイティブな領域に踏み込んでいただきたいと考えています。1人ひとりが「IT+クリエイティブ」を実現できれば、きっとITの世界はより素晴らしいものになるでしょう。とはいえ、まだまだHTML5の普及度は十分とは言えません。そこで我々は啓蒙活動の一環として、「HTML5プロフェッショナル認定試験」を実施しているんです。

柏村:私も認定試験のサンプルの問題集を解いてみましたが、思わず答えに詰まってしまうような高度な問題もありました。これを勉強すれば、かなり力がつくでしょうね。近頃はさまざまな技術が出てきていますから、SEは何を勉強すればいいのか分からない状態だと思うんです。こうして資格化していただけると学ぶべきことも明確になりますし、取得に向けて勉強のモチベーションも上がると思います。HTML5に取り組んでいる人間としても資格化は喜ばしいことですから、ぜひ多くの方々にチャレンジしていただきたいです。

成井:出題範囲が幅広いので、かなり手応えがあるでしょうね。IT技術者向けのWebメディアである「@IT (http://www.atmarkit.co.jp/)」がIT技術者を対象に行った調査によると、さまざまな資格の中でも「HTML5プロフェッショナル認定試験」の受験希望者がもっとも多いんです。これは非常にありがたいことですし、HTML5の必要性が認知されつつある証だと思います。その他にもHTML5関連のセミナー開催、Linux技術者向けの認定試験である「LPIC」認定校への呼びかけなど、HTML5の啓蒙活動は積極的に行っています。

柏村:弊社もHTML5による開発フレームワーク「hifive」による普及活動を行っています。これからHTML5標準の世界がやってくるという確信のもと、2012年にリリースしました。最初の3年間はhifiveのレベルアップに注力しましたが、2015年からはオープンソースカンファレンスや各種セミナーで「hifive」を紹介することも始めました。HTML5をもっと多くの方に知っていただき、さらに使っていただくためにも、今後も力を入れて活動していきたいですね。

テレビやカーナビ、プラネタリウム。ジャンルを超えるHTML5の可能性

成井:私は、「hifive」をオープンソースにされたのは素晴らしいアイディアだと思うんです。おそらく、オープンソースソフトでもっとも有名なのはLinuxでしょう。このLinuxを改善するために無償で貢献しているIT技術者は、世界中に3,000~4,000人いると言われています。それだけLinuxが愛されている理由は、まさにオープンソースという点にあるのだと考えます。例えば、自分がLinux改善のために作ったプログラムが、審査を通過して次のLinuxに組み込まれたとします。そうなると、自分の貢献度がたとえLinux全体の0.001%だったとしても、採用された技術者はLinuxに対してオーナーシップを感じるのです。すると「もっと世の中に広めたい」という思いも生まれますから、Linuxがこれだけ世の中に根付いたことも頷けます。「hifive」をオープンソースにされたことは、HTML5を普及させる、という意味ではもっともインパクトのある方法でしょうね。

柏村:オープンソースの世界では、まさにコミュニティの存在が大きな役割を持っています。実際に、「hifive」改善のために日本全国からさまざまな意見が寄せられています。特に今年は普及活動を通した出会いも多く、コミュニティがいかに大切かを実感した1年でもありました。

成井:アイディアやコードが採用された技術者の名前がクレジットされるのも、オープンソースの魅力ですよね。ソースコードに入った名前は永遠に残りますから、コミュニティの一員としての自覚が芽生えるわけです。

柏村:そうですね。自分の子どもにも自慢できますし、自分が貢献した証が残るのは技術者としての誇りになると思います。HTML5はまだまだ普及し始めたばかりですが、「難しいからやめようかな」という人に対して、「簡単だから一緒にやっていこうよ」と手を差し伸べるのが我々の役割だと考えています。「hifive」のコミュニティの一員として、あるいはHTML5を使った業務システムを通して、HTML5の素晴らしさをより多くの方々に知っていただきたいですね。さらにはHTML5の普及によって、日本がより豊かな国になるように今後も微力ながらお手伝いをさせていただきたいです。

成井:素晴らしいですね。HTML5が、今後HTML6、7、8と進化していく上で、末広がりにいろいろな分野へと飛び火していくでしょう。面白いところでは、私の知人のIT技術者がプラネタリウムの製造会社に転職をしました。 調べて見たら、今ではプラネタリウムの画像もHTML5で作成していることが判りました。昔は幻灯機で投影していたものですが、最新鋭のプラネタリウムではプロジェクターをコンピューターにつなぎ、星空を可視化しているようです。そのように裾野がどんどん広がっていますから、今後の展開が非常に楽しみです。

柏村:ハイブリッドキャスト対応テレビなどや、IoTでもHTML5が適用されつつありますよね。弊社も今後はWebに限らず、さまざまな分野のシステム開発に取り組む必要があると感じています。そのためにも、今からHTML5をしっかり学んでおきたいですね。「hifive」コミュニティの方々とともに、セミナーなどを通して理解度を深めながら、HTML5の普及を続けていきたいです。

成井:今後も力を合わせ、いろいろな活動をしていきたいですね。我々のセミナーでまた柏村さんに講演していただける日を、楽しみにしています(笑)。

柏村:機会があれば、ぜひ(笑)。技術者もまた、「HTML5プロフェッショナル認定試験」などを通じてHTML5の可能性を知り、将来への期待を膨らませていることでしょう。我々もできる限りご協力させていただきますので、今後ともよろしくお願いいたします。

最後はお二人にhifiveでしめていただきました!
ありがとうございました。

関連リンク

特定非営利活動法人エルピーアイジャパン様ホームページ
「hifive」オープンソース開発者サイト

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